海洋リテラシーキャンペーン

日本は「海」に囲まれています。
内陸から海までの距離は、一番遠いところでも約120kmぐらいでしょう。ユーラシア大陸やアメリカ大陸と比較すると、ほんとうに近い場所に海があります。
魚介類の消費量も1人あたりでも世界でもトップクラス、国全体では約900万tと中国に次いで2番目の規模で、食という身近な生活の中に海があることもわかります。
しかし、日本の人々の気持ちの中にそんな近さで「海」があるでしょうか。
こんなに近くにある「海」のことを、みんなどれぐらい知っているでしょうか。
実は知らない間に、「海」ではいろいろなことが起こってしまっています。
海水温や酸性度が上がって、海に大きな環境の変化がもたらされています。そんな環境の変化についていけずに、地球上から消えてしまう危機にさらされている海の生き物がいます。そんな中で獲られ過ぎて、危険性がさらに増している生き物たちもいるとも言われています。
いつの間にか海の流れが変わって、また海水面の上昇により、砂浜や岩礁などの地形に大きな影響がでているようなところもあります。海に発生する台風などの勢力も強くなっていると感じます。
漂流・漂着するゴミをご存知ですか? この漂流・漂着ゴミの量は膨大で(日本の海岸に漂着するものは年間約15万tと推定)、しかも増え続けています。このゴミは、海の景観を損ねるとともに海の生き物たちにとって、食べ物と間違えてしまう悩ましいものにもなっています。
生活や産業活動からの排水も、最終的には全部海に流れていきます。意識をして途中できれいにしているところもありますが、日本全国や世界各地を見渡せば必ずそうなっているとは言えません。
タンカーや油田からのオイルの流出、海の国境線をめぐる交錯、遠くに目をやれば海賊問題なども起こっています。直接的にではないものもありますが、結局は海にあまり良くない負荷をかけてしまっている事象が、山のようにあります。
私たちが大切にしなければならないはずの海が、私たちによって痛められているのが現状です。海は遠くにあって身近なものではないと思いこみ、そのため私たちが海を意識することがあまりない、知らないことが大きな要因のひとつだと思います。

「海を大切にするために、私たちは何をしたらいいのでしょうか?」 まずは、海について知ることからスタートです。海ってどんなところ? 海にはどんな生き物がいるの? 海の生き物たちの暮らし方は? 海にどんなことがおこっているの? 海はなぜ大事なの? 海と人との関係は?などなど。知ることは、何をすれば良いかを考えることにつながります。
加えて、海のことをすこし探求しておくと、海にでた時に「なるほど、なるほど」なんて不思議発見、楽しさ倍増、海産物を食べるときにも「味わって食べよう。」ともなるわけです。

みなさんが海の近いところに出かけられた時、波の音や磯の香り、潮風で心も癒されきっと気分転換になるでしょう。なかには、海に浸ってからだ全体で海を感じられるようなことをされる方もいらっしゃるのでしょう。とれたての海産物に舌鼓をうつことを楽しみにされている方も大勢いると思います。
こんな海からの恩恵のお返しに、海のことを学んで、その海を大事にする取り組みに関わっていただけませんか。海を大事にするための活動として海洋リテラシーキャンペーンに取り組んでいます。